倫理規程

日本カント協会倫理規程

 2021年11月20日制定

 

1条 日本カント協会(以下、「本会」)は、本会の活動のなかで本会の会員が差別的な扱いやハラスメント行動の被害を受けた場合に、または受けるおそれのある場合に必要な措置を講じるために、本規程を制定する。

 

2条 本会は、対等な会員相互の自由な知的研鑽の場として確保されねばならない。また、本会の会員は、本会の活動や運営のなかで、性別・年齢・国籍・人種・宗教・思想・信条・所属・性的指向及び性自認などにもとづいて、差別的な扱いを受けない。

2)前項の規定にもとづき、会員は、本会の活動において、セクシャル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント、パワー・ハラスメント、レイシャル・ハラスメント、アルコール・ハラスメントなど、各種ハラスメント行動に及んではならない。

3)会員は、他の会員に対する誹謗中傷や名誉毀損をしてはならない。

4)会員は、論文審査に当たって、編集委員会や編集委員個人に対して心理的、物理的な威圧と受け取られる行動に及んではならない。

5)本会の各種委員は、本会の公正な運営を行わなければならないことから、差別やハラスメント行動が本会の活動のなかで生じないように配慮しなければならない。

 

3条 前条に抵触すると思われる行動に関して、会員は、本会事務局を介して、事実を調査し対処策を審議するよう委員会に対して請求することができる。

2)委員会は、請求者たる会員に不利益が生じないよう配慮しなければならない。

3)請求がなされた場合、事務局は速やかに委員会に報告し、委員会は、第1項の請求に関し合理的根拠の有無を判断する。合理的根拠があると認められた時には、委員会は内部に調査委員会を設置する。なお、本規程の主旨に鑑みて、本会は、本規程の適用にさいしては、事実関係の正確な把握や関係者の事情聴取に努め、きわめて慎重に運用することとする。

4)調査委員会は、委員の互選による4名の調査委員をもって構成する。調査委員長は調査委員の互選により選出する。

5)調査委員会は両性の調査委員によって構成される。調査委員の性は本人の性自認によるものとする。前記のことが不可能な場合は、会長は会員のなかから調査委員を指名する。

6)調査委員会は、第2条に該当する事実関係の調査・把握と、必要に応じて該当する会員の処遇の検討を行う。

 

4条 調査委員会は、訴えを受けた会員からの弁明の聴取を含め守秘義務のもと慎重かつ公正な調査を行い、設置の日から90日以内に委員会宛てに、不正行為の存否に関する報告書を提出するものとする。また同時に次の処分を検討し、処分案を委員会に上申する。

2)処分は、行動の悪質さと被害の深刻さに応じて、「警告」、「会員資格の停止(有期)」、「退会勧告」、「除名」のいずれかとする。

 

5条 委員会は、調査委員会の検討結果の報告を受けて、処分について十分慎重に審議し、決定する。

2)処分の内容と理由は、会長名で文書により当該会員に直ちに通知する。処分は、当該会員への通知日と同じ翌月の暦日(該当する日のない場合は翌月末日)の午前0時に発効する。

 

6条 前条により処分の通知を受けた会員は、これに異議ある場合は、処分の発効時点までに委員会に異議を申し立てることができる。異議を申し立てる会員は、文書でその理由を明記しなければならない。

2)委員会は、当該異議が合理的根拠を有すると認められた場合には、委員3名からなる再調査委員会を設置し、再調査を諮問する。再調査委員会の構成員のうち少なくとも2名は、調査委員会委員であってはならない。

3)再調査委員会は、当該請求ならびに不服申し立てに関する事実につき調査し、設置の日から30日以内に委員会に答申する。委員会は同答申を踏まえて原処分の可否について決定する。

 

7条 前条にいう再調査結果の通告は、会長名で文書により当該会員に通知する。

2)再調査は本会の最終審とし、さらなる異議申し立ては受け付けないものとする。

 

8条 委員会は、第5条に規定する不服申し立ての受付期間が終了した後に、処分の事実を公表し、総会に報告するものとする。

 

付則

1. 本規程は、20211120日の総会決議により制定され、即日施行される。なお、本規程第1条にいう差別的な扱いやハラスメント行動に関する訴えは、本規程の施行以前の事案であっても、本規程に準じて取り扱う。

2. 本規程の改廃は、委員会の議を経て、総会の議決を要する。

3. 非会員からの訴えと非会員に対する訴えについては、当該の行動が日本カント協会の事業のなかで生じたと判断された場合には、本規程の趣旨にもとづいて委員会が適切な対応を行うものとする。